以下の資料は、著作権法と不正競争防止法の保護を受けています。
従って、資料の一部あるいは全部について、CIOパートナーズ株式会社からの承諾を得ずに、いかなる方法においても無断で、複製、ノウハウの使用、企業の展開等をすることは禁じられています。
恐れ入りますが、上記をご承諾頂ける場合のみ、以下のレポート名をクリックして頂き、本編にお進みください。
システム整備だけでは実現できない!営業改革のポイント(前編)(クリックして開く)
本レポートは、著者が講演したセミナー講演内容等を元に作成しています。
アジェンダ
はじめに
営業力強化を経営課題の柱に掲げる企業は少なくありません。
しかし、SFAやCRM等のICTシステムを構築し、更にはBSC制度の導入等に取り組んでも有効な対策とならず、
いわば「永遠の課題」になってしまっているケースが驚くほど多く散見されます。
また、こうした営業強化が永遠の課題に陥っている企業の多くで
『何をやってもラチが上がらない』
『結局は営業の資質の問題…』
といったコメントをしばしば耳にします。
しかし、本当に営業力を強化する為の万策は尽きているのでしょうか?
営業力の強化を図るには、情報システムの整備や評価制度の見直しの前に、
もっと「業務そのもの」に着眼して取り組むべき事があります。
当レポートは、これまでのコンサルティング経験などを踏まえて、営業改革を進める為に、
どうやって「業務そのもの」に切り込んでいくべきか、を当社の考えとしてまとめています。
1.営業の現状①営業とは「何」なのか?
営業力の強化を経営課題の柱に掲げている企業は少なくありません。
しかし、営業強化を経営課題としつつも、実効性のある取り組みを推進できている企業は、ほんの一握りにすぎません。
実際、多くの企業が以下に代表される様々な営業強化の為の施策に取り組んでいます。
- セールスフォースに代表されるSFAの導入
- 顧客情報を管理するCRMの構築
- ビッグデータを活用したマーケティング分析手法の導入
- 営業活動に関する研修の積極的な実施、社外研修への受講者の派遣
- 営業マンを評価する為のバランススコアカード(BSC)制度の導入、など
こうした諸施策の中には、数億円単位の大きな投資を要する施策や、大勢のスタッフを動員して全社を挙げて取り組む施策もあります。
しかし、経営者が満足できるレベルで投資や負担に見合う成果を達成できているケースは、僅かです。
なぜ、多くの企業が、「営業強化」を実現できないのか…
それは、「結局、営業が“職人サン”のままだから」だと、私たちCIOパートナーズは考えています。
『御社の営業は、“職人”ですか?』
この問いかけに対して、自社の営業を、“職人だ”と回答する企業経営者は殆どいません。
反面、大半の企業では、営業を職人と同じ様にしか扱っていません。
例えば、多くの企業では営業職の新入社員の集合研修で
- 挨拶や名刺交換、電話応対などの最低限の作法
- 商品(商材)の知識
- ゲーム感覚のロールプレイ
といった基本中の基本だけをレクチャーし、あとは各部署のOJTに委ねています。
ただし、そこで教育・指導を任されるOJTリーダーの営業スタイルも基本的には自己流です。
この状態で「(OJTリーダーの)やり方を見て学びなさい」とする育成手法は、
「先輩の背中を見て覚える事」を基本とした職人の育成手法と大差がありません。
こうした現状が背景にある為、経営者が自社の営業を職人と捉えていない企業でも、
社内の営業担当に同じ事をヒアリングすると「私たち営業は職人です」と答えが返ってきます。
営業を、職人の様に捉える事自体が問題ではありません。
しかし、「職人の作業の様に仕事(プロセス)を個人任せ」にしている状態では、
いくら企業が営業強化に向けて、組織的な施策を講じても、思う様な成果は上がりません。
2.営業の現状②営業のプロセス(営業の進め方)は…
前項でも記載した通り、多くの企業では営業に対して「プロセスは個人任せ」にして、「結果(契約)だけはしっかり管理」しています。
しかも、最近は営業マネージャーの殆どが、自らもプレイング・マネージャーとなって営業活動を行っている事や、
マネージャー自身が「自己流」で育ってきた為に部下の営業マンに適切な指導が出来なくなっている事などが背景にあり、
「営業プロセス=個人任せ」の傾向が顕著です。
その為、出来ない営業マンほど、
「営業プロセスの最初の段階から間違いだらけのままで、誰からも軌道修正されない営業案件」
を多く抱えています。
例えば、以下の図で示した内容は、「お客様(訪問先)」という一言をとっても、
出来る営業と出来ない営業は意味合い(中身)が全く異なる事を表した一例です。
出来ない営業マンの場合、こうした状態のままで「お客様のニーズや状況」を何度ヒアリングしても、成果(契約)には一向に結び付きません。
3.営業強化の改革を進めるには…
そこで3章では、営業強化に向けてこれらの現状を解決する為の方向性を整理します。
まず、一般的に、営業のパフォーマンス分布は以下の図示の通り、「2:6:2の法則」になぞらえて説明されます。
この2:6:2の法則に沿って営業強化の方向性を考えると、以下の3通りの選択肢があります。
(A)優秀な営業マン(上位2割+α)の成果の更なる向上を図る。
(B)どちらかと言えばパフォーマンスの低い営業マン(特に下位2割+α)の底上げを図る。
(C)営業マンのパフォーマンスの高低に関わらず、全体の底上げを図る。
3つの選択肢のうち、(C)全体の底上げは、営業プロセスを個人任せにしている状況では、
一律して成果の上がる手立てが見当たらず、大きな成果を望み難いといえます。
他方、(A)トップの更なる向上は、どこの企業でもトップセールスほど、自己流の勝ちパターンをもち、
職人的な傾向が極めて強い事から、自ずと実効性のある手立ても個々人によって異なります。
つまり、会社の共通の施策として実効性は得られません。
そもそも、1~2章で記載した営業の現状①~②を招く共通の原因は、「営業プロセスを個人任せしている」事にあります。
言い換えると、自社営業の標準プロセス(当社では「会社の勝ちパターン」と呼んでいます。)を確立できていない。
ゆえに、
『会社の勝ちパターンを確立し、パフォーマンスの上がらない営業の活動に適用する事』
こそが、企業の営業力強化に向けた現実的なアプローチだといえます。
つまり、(B)低パフォーマンス営業の底上げにこそ、企業の営業力強化のカギがある、と私たちCIOパートナーズは考えています。
最も成果の大きな営業改革は
成果の乏しいセールスのレベルアップ(底上げ)に業績UPの秘訣あり!
その為には、自社の出来るセールスの行動(プロセス)をモデル化(すなわち、勝ちパターンとして見える化)する事がカギとなります。
この際、
『どうせなら、他社のやり方を当社でもモデルに…』
というお客様の率直な要望をよく伺います。
しかし、残念ながら殆どの場合、他社モデルの適用は効果的とはいえません。
なぜなら、同じ業種や同じ商材を扱う企業であっても、
自社の業界ポジションや対象となる顧客セグメント、企業文化、組織構成、セットで取り扱っている商材、パートナー企業との関係など、
様々な要因で勝ちパターンが異なる為です。
例えば、同じ自動車販売でも、
高級外車と大衆車、法人と個人などで、あるべき営業プロセスは全く異なる等が一例です。
ゆえに、安易に他社事例を流用するのではなく、
むしろ、自社の中でセールスをパターン化し、各々の営業パターンについて、
出来るセールスの行動(プロセス)をモデル化する必要があります。
中編では、具体的に会社の勝ちパターンを確立する為のポイントに焦点をあてて解説します。
CIOパートナーズ株式会社
代表取締役 吉田明弘